2005年 11月 06日
20代の心肺停止・・・・。(前編)
患者さんは、当院には「てんかん」などでかかっているのですが、家で倒れて、救急隊が到着したときにはCPA(現場の心電図は心静止)になっていました。
来院時も心電図は心静止でしたが、最初に目についたのは「外頚静脈の怒張」でした。(写真参照)
「外頚静脈の怒張」があるということは「胸の中で何か重大なことが起きている!」ということです。心臓に戻りたい血液が胸の中で重大なことが起きているために、戻れなくなって頸の部分で留まってしまうのです。
もう一つおかしいのは、バッグで押しても気管挿管しても胸の挙上が得られず、換気が困難であったことです。挿管後に慎重に聴診をしましたが、右はほとんど聞こえません。でも左もイマイチ聞こえない・・・?口の中に異物はなく、チューブ内からも喀痰の吸引は無し。
nozakoj心の声: 「気管の奥に何かあるのか??」
とりあえず、救急隊にお手伝い頂き、ACLS(2次心肺蘇生方法)をしながら、心肺停止になった原因を考えてみました。
救急部に心停止で来る患者の内因性の原因としては、①心疾患(急性心筋梗塞など)、②大動脈疾患(胸の大動脈が破裂したり。)、③重症のくも膜下出血、④窒息などが挙げられます。(注!他にもたくさんありますよ!)
nozakoj心の声:「でも、この20代男性では、①②はないだろうし、挿管したところ④もないかな・・・するとやはりあれだよな・・・。」
心エコーでも明らかなものは何もなさそうなので、私はちょっと(かなり?)ためらいつつもあることをしたのでした・・・。
さて、私はまず何をしたのでしょうか???
A:静脈留置針による胸腔穿刺をおこなった!
B:「ふっ、胸に何かあるな。」と考え、胸部レントゲンを撮影した!
C:頚静脈が怒張しているのをいいことに、いとも簡単に外頸静脈から中心静脈カテーテルを留置して昇圧剤を投与した!
D:開胸心マッサージをおこなった!
E:天に祈った。(無宗教)
心肺蘇生においては基本的なことなので「簡単じゃ~ん!」と言う方もいらっしゃると思いますが、次回まで引っ張ります!