2005年 12月 22日
ゴルフが優先かい!!!
昔、先輩が救急外来で当直をしていたときの話です。
「指を誤って切ってしまった患者さんが来院しました」というコールがあり、救急外来に降りていったところ、そこにいた患者さんは明らかに「ヤで始まってザで終わる職業の方」だったそうです。しかも、受傷部位は予想通り、「小指」・・・・。(^_^;)
先輩「どうしてけがなさったのですか?」
患者「いや~、台所で料理しようとしてたら手が滑ったんだわ。」
先輩「あ、そ、そうですか。で、その指は?」
患者「あ~、持て来なかったな~。」
先輩「あ、そ、そうですか。」
(普通、誤って切った方は、その指や腕を持ってくるのが普通です。(笑))
まあ、理由はともかく、けがの範囲がいわゆる第一関節(DIP)の部分で皮膚欠損があり、断端形成(キズ口を丸く皮膚で覆うように縫うこと)が必要であることを説明すると、その患者さんは、
患者「いや~お願いがあるんだけど、なるべく関節が少しでも残るようにしてくれないか。それでないと、グリップが安定しないんだってよ。」(←伝聞調。この方の周りには「誤って切った友人」の方が多いようです。(^_^;))
先輩「グリップ?」
患者「ほら、ゴルフクラブのグリップよ!」
先輩「・・・・。」
確かに、指の関節はちょっと残るか残らないかで機能的に変わってきます。特に、拇指が残るかどうかはその方の人生が変わるぐらい重要です。
自分で切って置いて(いや、誤って切ったのでしょうけど・・・。)、「ゴルフのために・・・」というのは最低の極●だな~とこの話を聞いたとき思ったのでした。
ERには一生懸命仕事をしていて指を無くしてしまった方や、肉屋でアルバイトをしていて腕を器械に巻き込まれて前腕を失った学生などが搬入されてきます。
そういう時には「自分で指を落とすような奴らにこの方達の悲しみを知らせてやりたい!」といつも思ってしまいます。