2006年 01月 19日
心肺停止って3次救急?救命センターの受け入れ拒否は?
一次救急医療機関:いわゆる夜間や休日の「当番医」。外来診療で済みそうな救急患者さんを相手にする医療機関をさします。
二次医療機関:入院が必要となる救急疾患を担当する医療機関をさします。
三次医療機関:複数の科にまたがるような重症な患者を担当する医療機関をさします。いわゆる「救命救急センター」がこれにあたります。重症な患者は常に受け入れる体制がなければなりません。
で、タイトルに戻ります。
ある講習会の時に、ある救急救命士さんが私に次のようなことを言いました。
救命士 「nozakoji先生、CPA(心肺停止)患者って、3次救急(の適応)だと思いますか???」
nozakoji 「「CPAなので受け入れお願いします!」と救命センター勤務時には言われましたが、別にどこの医療機関でもCPR(心肺蘇生)は出来なくちゃいけないので、1次救急ですかね。」
救命士 「そうですよ!!!ACLS(標準的な心肺蘇生方法)を行えば良いんだから、1次の適応ですよ!!!」
nozakoji 「そうですね、もし、心臓が動き出してその後に脳低温療法(全身を冷却して、心肺停止による虚血により生じた脳のダメージをそれ以上悪化させないように行う治療法)や他の高度な治療が必要なら救命センターに搬送したら良いんですよね。」
救命士 「その通りですよ!!!」
・・・・・しかし、残念ながら、いわゆる1次医療機関では満足な蘇生が行われていることは少ないのです。外来に来ていた患者さんが心肺停止になったといって救急車を要請、救急隊が行ってみると何の処置もしていない・・・なんてこともあり得ます。(実際、ありました・・・。)
また、重篤な患者を常に受け入れなければならない救命センターが患者の受け入れを断るといったことも最近耳にします。救命センターの近くで生じたCPAが当院に搬送されるので理由を聞くと、「ICUが満床だからと言われました」とのこと・・・。
救命センターまで10分弱で到着する患者を当院まで20分近くかかって搬送すれば助かるモノも助かりません・・・・。外来でまずは蘇生を試み、それから転院を含めて考えれば良いのに、と思ってしまいました。(実際、CPA患者さんでICUにまでたどり着ける方はほんの一部です。)
私もお世話になった地元の救命センター長は、救急隊への研修も休みを削って一生懸命されているのですが、下の先生にはうまく伝わっていないな~と強く感じてしまう今日この頃です・・・。
【追記】誤解があったら困るので、追加します。医療スタッフに対して患者数が多く、受け入れることで逆に患者さんに不利益が生じると思われるのならば、受け入れ拒否も仕方がありません。それは正しい選択です。
特にERにも患者さんが多くいない状態で、断ることが問題であるということを伝えたかったのです。
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