2008年 02月 06日
洋上救急に初出動!・・・のはずが・・・。
「洋上救急って何?」
と思われる方もいらっしゃるでしょうが、まあ、簡単に言うと、船上でケガしたり病気になった人を陸地の医療関係者が、海上保安庁の船やヘリコプターなどに乗り迎えに行くシステムのことです。
私の以前の勤務先は、海と離れた場所でしたので、洋上救急とは全く無縁でしたが、ここ沖縄ではそうはいきません。周りが全部海ですしね。(^_^;)
では、システムを私のわかる範囲で簡単に説明します。
船上で病人が発生した場合、まず、船長や船主が海上保安庁や洋上救急センターに医師の往診を依頼します。依頼を受けた洋上救急センターでは、患者の状態を決められた問診票に沿って確認します。そして、洋上救急協力機関に連絡し、医師や看護師が出動可能か確認してから両者の調整をはかります。
近いところでは、那覇空港の基地からヘリコプターのみで迎えに行けるようですが、遠いところだとヘリの降りられる巡視船などを乗り継いだりしながら迎えに行くこともあるようです。
テレビなどでは、ヘリコプターからロープを伝って患者のいる船上に降りる光景を目にしますが、我々医療従事者はあんな危険なことはやりません。ヘリの中で待機して、「海猿」こと海上保安庁のスタッフが釣り上げてきた患者さんの診察をすることになります。
以上の流れについては、昨年12月に洋上救急の訓練で学んできました。しかし、それほど出動が多いものではありませんので、自分が当たることは考えてもおりませんでした。
そんな、ある日、洋上救急センターから電話がかかってきたのです!
「こちら洋上救急センターです。●●岬の××マイル離れた洋上で□□の患者が発生しています。それで・・・・(詳細説明)・・・・なんですが、出動可能ですか?」
こちらも人の手配がありますので、調整してから電話すると伝え、上司に相談してから私が出動することになりました。こちらからセンターに電話をして、患者が外国人であることや、自分が向かう基地の入り口について確認した後、病院前のタクシーに乗り込んだのでした。
相手は外国人です。タクシーが走り始めるとすぐに私は、英語でどんなことを聞いたらよいかを頭の中考え始めたのでした。しかし、以前の記事にも書いたように、英会話での問診は大の苦手なので、
「あ~、あの買った本を持ってきたらよかった~、へたこいた~!!!OTZ」
と思っった瞬間、私の携帯が鳴ったのでした。
「こちら、洋上救急センターです。nozakoji先生ですか?あの~すいません、出動はキャンセルになりました!本当にすみません!」
「は、はあ。」
結局、病院の周りを一周して再び救急外来に戻ったのでした。(^_^;)
確かに、ケガの状況はたいしたものじゃ無かったので、ヘリで行くほどでは無いと判断したのでしょう。そして、調整側も少しフライング気味に医療機関へ問い合わせたのかもしれません。
初の洋上救急に行けなかったという残念な気持ちと、次回出動がかかる頃までにもっと英語の勉強ができる猶予ができたうれしさ(?)が入り交じったひとときとなった、というお話でした。(しょぼい男です。(苦笑))
ちなみに、海上保安庁から発表されている海の緊急番号をご存じでしょうか?
・海難人身事故に遭遇した、または目撃した。
・油の排出等を発見した。
・不審船を発見した。
・密航・密輸事犯等の情報を得た。
など、以上のような時は落ち着いて118番に電話しましょう!!!!(^ ^)/ (密輸の現場は見たくねぇ~!!!)