救急専門医、麻酔科認定医・標榜医。北から沖縄に移住→再び北上した感想など…。(救急には無関係な内容が多い!ペインクリニック患者でもあります。)症例は設定変更しています。
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TVドラマ「ナースあおい」を見ました!

 もう、2月になりますね。18日には人工呼吸に関するお話をしなくてはいけないので、そろそろネタを仕込まなくては・・・・。(昨年と同じではうけないと思うし。)

 さて、本日、漫画が原作の「ナースあおい」というドラマを見ました。その中の一場面を見て思ったことを書きますね。
(2005年11月6日、8日の本ブログ記事「20代の心肺停止・・・・。」も参照願います。)
a0031617_06933.jpg

 場面は、民間の患者搬送サービス用の救急車内。
 
 ある救命センターに下腿の骨折(だったと思う)の患者さんが搬入されたのですが、他の事故でセンターは手一杯なためその方を他の病院にナース(主人公あおい)同乗で転院させることになりました。
 
 しかし、車内で患者は急変!心電図上、VF!(心室細動:致死的不整脈のひとつ。)

 あおいはAED(自動体外式除細動器)を使って救命を試みますが、VFは解除できません。呼吸を観察すると、右肺の呼吸音は聞けません。センターに電話をかけて医師に助けを求めると「緊張性気胸だ!」とのこと。

 あおいは、自分の判断で「胸腔穿刺」(胸の中に貯まった空気を抜くこと)を行い、結果として患者さんが救命できたのでした・・・・。

 

 ここで良かった点、悪かった点を「事後検証」してみますね。(医療ドラマを見るたびに文句を付けてる気がする。(^_^;))

 
 【良かった点】

 1:患者が急変したときに、あおいは患者の口元にしっかり顔を近づけて、呼吸の有無を正しく観察していた!
 
 2:VFを発見後、AEDを用いての早期除細動を試みた!
 
 3:緊張性気胸に対して静脈留置針による緊急胸腔穿刺を行い、患者さんを助けた
 
 4:患者さんの頭側ではなく、右側にいたにも関わらず、きちんとマスクホールドを行い、人工呼吸を行えていた!(ように見えた。)

a0031617_2212398.jpg


 【残念だった点】

 1:心マッサージは「絶え間なくおこなうことが重要!」なのだが、途絶えていた・・・
 
 2:胸腔穿刺の部位が少し下だったような気がする・・・・。(第4肋間付近を刺していたように見えた。)

 3:ドラマでも問題にされていたが、胸腔穿刺は日本では医師法違反・・・


 【ダメだった点】

 1:救命センターの医師が気胸を見逃していた点・・・。(>_<) (気をつけよっと!)
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by nozakoji | 2006-01-31 22:15 | 救急の話 | Comments(10)

10000名のご訪問、ありがとうございます。m(_ _)m

 このブログの当初の目的は

 「地元の救急隊員の方に救急外来で私が思ったことをお伝えしたり、経験した症例についてフィードバックさせていただこう!」

 というところから始まりました。(以前にも書きましたが。)

 そんな目的で昨年夏より本格始動したブログも、昨日、「10000人の来訪者」を迎えるまでになりました。

 難しいことも書かず(書けず(?))、思ったことをアホな文章で書いているだけなのに、こんなにもたくさんの方が見て頂いたことに驚きと嬉しさを感じております。

a0031617_1633438.jpg
 これからもなるべく長く続けていけるように頑張っていきますので、皆様、暖かく見守ってくださいませ。
 
 以上、お礼の言葉でした!(まじめに書いてしまいました・・・)
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by nozakoji | 2006-01-30 10:07 | その他 | Comments(10)

受け入れ先が見つかりますように・・・。

 当院では、救急患者がこのところ急増し、ベッドコントロールが難しい状態になりました。少し前までは考えられない状態です。(この状態が病院上層部を動かしたらしく、「ICUを増やそう!」という動きまで出てきたようです!個人的には嬉しいです。)

 
 さて、こんな事がありました。

 
 当院からはかなり離れた地域にある病院の当直医からホットラインが入りました。

 A医師 「○○病院の医師です。第一関節で指を切断された方がいるのですが、切断面もきれいなので再接着がそちらでできないかと思いまして・・・。」

 nozakoji 「わかりました。当院の当直医に確認後、こちらから電話します。」


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 指の再接着は、顕微鏡などを使用して行う手術のため、整形外科医でも特に上肢を専門とする医師がいないと上手くいきません。となると、施設も限られてくるわけです。(救命センターがたくさんある地区なら困ることはないのでしょうが・・。)

 事情を当院の当直整形外科医に説明のため連絡すると、今日は都道府県レベルでは一番大きな学会がS市で開かれているため対応できないと言うことでした。
 
 院内当直医 「今日は私(上肢の専門では無い医師)しか市内にいません。△△病院の◆◆医師に連絡とってみたらどうでしょう。でも、その先生もいないかもしれませんが・・・・。お役に立てなくてすみません。」 
 
 上記の事情をA医師に連絡入れると、

 A医師 「わかりました。ありがとうございます。では、また他の病院にあたってみます。」

 nozakoji 「S市で学会と言うことらしいのですが、S市の医療機関にはかけられたんですか?」

 A医師 「えぇ・・・。実は先生のところで13件目でした。(苦笑)では、またお願いします・・。」

 
 もう、学会も終わる頃だろうから、受け入れ先が見つかることを祈ります。患者さんのために行う診療技術や研究を発表する場である学会が開催されているために、こんなことが起きてしまうのは、悲しいですね。(T_T) 

 「けがをした日が悪かった・・・。ついてないね。」で簡単に済ますことができない気がした一例ですね。
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by nozakoji | 2006-01-28 17:07 | 救急の話 | Comments(6)

話し方が急変した歯科医!水戸黄門ってこんな気持ち?(笑)

 1月になり来訪者が増えたことに若干のプレッシャーを感じている私です。(^_^;)

 また、研修医に「あ、先生のブログ見てますよ!「救急医学って難しい」ってやつ。」と言われ、「いや、救急医療だから。」と答えた後に、「っていうより、俺はブログなんかやっていない。どこにも俺の名前も所属もかいてないだろ?(汗)」という無意味な言い訳もしてみた私です。


 
 さて、先月より歯科に通院してます。勤務先にも歯科(口腔外科)はあるのですが、勤務時間内にかかるのは嫌なので、個人医院にかかることにしました。

 私の歯科医院の選択条件は・・・

a0031617_15525453.jpg
 ・遅くまでやっている
 ・駐車場が混まない
 ・なるべく近所(勤務先or自宅)

 
 といったところです。(コンビニ選択の条件に似てますが。) 評判はどうでもいいです。

 で、決定したのが、夜8時まで開院している某商業施設内(駐車場広々。自宅に近い)にある歯科クリニックでした。
 外観はきれいですが、見るからに「大手歯科クリニックチェーン!」という感じで、院長も私より若めです。しかも、クリニック内のBGMはロックが流れていたりします・・・。

 私への話し方もいわゆる「ため口」です。(そんなに嫌な感じではありませんが。)でも、遅くまでやっていることと、治療方法が下手な感じではないので、
 
 「まあ、医者でもこういう人間は一杯いるもんな~。同じにならないように気をつけよっと。」

と思い、通院しておりました。「俺は医者だぞ!口を慎み給え!」な~んて気もありませんですしね。

 で、ある日、抜歯をすることになったのですが、突然、私の職業をばらす瞬間がやってきたのです。(まあ、別に隠していたわけではありませんが。)


 歯科医 「は~い、抜けたよ。じゃあ、痛み止めと抗生物質出しておくからね。」

 nozakoji 「いや、鎮痛剤は手持ちがあるのでいりません。」

 歯科医 「え、何があるの?」

 nozakoji 「え~と、AとかBとかCとか・・・。医者やってるので、処方してるのがあります。」

 歯科医 「あ、そ、そうなんですか。じゃあ、出しませんね。」(歯科衛生士、苦笑)
「はい、もう一度口を開けて下さいね。ボスミンを含んだ綿です。止血するのでしばらく噛んでいて下さいね。」
 
 nozakoji心の声 (そんな丁寧な感じの話し方、今までしてなかったじゃん!(笑))


 
 従業員の前でちょっと格好悪いところ(?)を見せてしまった歯科院長さんでした。ため口を通すならとことん通すべきだし、相手の職業で対応を変えるべきではありませんよね。

 どんな患者さんにも「普通の大人としての会話」をしていればこんなことにならないですけどね。(私も気をつけます!)
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by nozakoji | 2006-01-26 17:35 | その他 | Comments(14)

アナフィラキシーショックの原因を探せ!!!~パート2~

 久しぶりに市中病院の当直業務をしているnozakojiです!(患者ゼロです・・・・。)

 さて、すでにコメントに優秀な医学部生が書き込んでいるように、この方の病名は、、、

            食物依存性運動誘発アナフィラキシー

だと思われます。(確定するには、血液検査や、負荷試験をしなくてはいけませんが。) 今の医学生には常識なんですかね?

 診断へのキーワードは前回書いたように、いわゆるアナフィラキシー症状(皮膚が赤い、下痢・嘔吐などの消化器症状、血圧低下など)の他に、

a0031617_0222429.jpg
 ・食事は8時頃。(調理パンを2つ)
 ・食後まもなく配達の仕事を開始。
 ・体調不良が生じたのは9時頃。


という時間経過です。あとは、「以前にも同じようなことが無かったか?」を問診することです。

 この病気の特徴は、原因となる食べ物を摂取しても運動しなければ、重症化しないのに、摂取後まもなく(2~3時間以内)にある程度の運動をすると重症のアナフィラキシーを起こすと言うことです。

 原因物質としては、小麦(パン、麺類)、エビ、カニがよく知られています。

 あとは、寒冷の刺激などもその重症化に関与することがあるようです。この方も、食後まもなく冬の屋外で配達の仕事をしたため重症化したのだと推測されます。(私が以前経験した方も、麺類を摂取後に除雪作業をしていて発症しておりました。)

 今回の方ほど重症でないにしても、運動後に軽いアレルギー症状で救急要請したり、病院を受診された患者さんには、

 「運動の前に、何か食べましたか?パンとか、エビとか・・・・。」

 「以前に同じような症状はありませんでしたか?」


 と問診することで診断がついて、将来の重症化を予防することが出来るかもしれません。

 コメントにfoobirdsさんが書かれたように、給食後の休み時間に体育館で具合の悪くなる小学生の中には、この疾患を持った子供が含まれていると考えられています。

 しかし、この疾患の負荷試験(原因物質を摂取後に運動をして同じような症状が出現するかをみるもの。)は恐ろしいですよね。また同じ症状が出るのかもしれないんですから・・・・。(^_^;)

【1月24日・追記】上記の負荷試験の内容にウソがあると思われるので訂正です!m(_ _)m
負荷試験の際は、食物摂取ではなく、ある種の薬剤を投与した後に負荷をかけるようです。訂正してお詫びいたします。すいません。m(_ _)m
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by nozakoji | 2006-01-22 00:31 | 症例の話 | Comments(6)

アナフィラキシーショックの原因を探せ!!!

 白状します・・・。(^_^;)

 私のPCのデスクトップには「ブログネタ」というタイトルの書類があります。(恥ずかし~!!!) 日常の診療で思ったことや、以前の症例で「これはネタになるかな?」と思ったもののタイトルを忘れないうちに箇条書きしてあるのです。

 で、最近、「ブログネタ」に書いてあるのと同様のエピソードで来院された患者さんがいたので、今回紹介致します。m(_ _)m

 30代の女性が配達の仕事を開始してまもなく、気分が悪くなり救急車で来院されました。

 来院時は血圧も安定して、意識状態も清明でした。呼吸状態は安定していましたが、胸の苦しさを訴えるため、初療医は心疾患を疑い超音波検査を施行しました。しかし、心電図も含めて心疾患は否定的でした。
 そこにnozakojiが通りかかったのですが、皮膚の紅潮が気になりました。

 のざこじ:「皮膚が赤いようですけど、アナフィラキシー(重症のアレルギー反応)ですか?」

 初療医:「いや~、雪の上でうずくまっていたから、冷えたんじゃないだろうか?」


でも、触ってみると体は温かいですし、そのうち、血圧も低下し、50台となりました。

 やはり、アナフィラキシーショックです!この病態に多く見られる喘息の時なような呼吸状態の悪化は認めませんでしたが、ショック症状が強いため、点滴を全開で入れると共に、エピネフリン0.3mgを筋注、抗ヒスタミン薬(アレルギーに使用する)静注、その他(H2ブロッカー、ステロイド)を投与しました。

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 「これで良くなるだろう。」と思っていたのもつかの間、心電図がVF(心室細動)に変化しました!しかし、初療医が落ち着いて安全に除細動(いわゆる電気ショック)を行ったのですぐに状態は安定したのでした・・・・。(除細動3回目で治りました。)

 フゥー。

 

 さて、重症のアレルギー反応であるアナフィラキシーですが、多くは薬剤投与(病院で抗生物質点滴、抗生物質内服)や原因物質の摂取直後に生じることが多い病態です。

しかし、この方の場合は・・・

 ・食事は8時頃。(調理パンを2つ)
 ・食後まもなく配達の仕事を開始。
 ・体調不良が生じたのは9時頃。


と、食物摂取からは、少し時間がかかっています。

 さて、どうしてこのような経過でアナフィラキシーが発症したのでしょう?原因は何でしょう?
ちなみに、最近、抗生物質を飲んだりしたこともありません。(通院中の病気に関する薬剤は飲んでいますが。)

 この原因については、nozakojiは以前に経験していたので(だから「ブログネタ」に書いてあったのですが。(笑))、すぐにわかりました。(百聞は一見にしかず!)医師でも知っている方はそれほど多くはない病態です。(でもたまに新聞で取り上げられたりしてますけどね。)

 丁度、救急救命士さんが院内で実習中だったので、この病態の観察ポイントや情報収集の大切さをお教えできて良かったです!(もちろん、患者さんの状態も安定しましたよ!)
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by nozakoji | 2006-01-20 15:38 | 症例の話 | Comments(4)

心肺停止って3次救急?救命センターの受け入れ拒否は?

 まず、知らない方のために簡単に救急医療機関の分類について簡単に説明します。

一次救急医療機関:いわゆる夜間や休日の「当番医」。外来診療で済みそうな救急患者さんを相手にする医療機関をさします。

二次医療機関:入院が必要となる救急疾患を担当する医療機関をさします。

三次医療機関:複数の科にまたがるような重症な患者を担当する医療機関をさします。いわゆる「救命救急センター」がこれにあたります。重症な患者は常に受け入れる体制がなければなりません。

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 で、タイトルに戻ります。

 ある講習会の時に、ある救急救命士さんが私に次のようなことを言いました。

 救命士 「nozakoji先生、CPA(心肺停止)患者って、3次救急(の適応)だと思いますか???」

 nozakoji 「「CPAなので受け入れお願いします!」と救命センター勤務時には言われましたが、別にどこの医療機関でもCPR(心肺蘇生)は出来なくちゃいけないので、1次救急ですかね。」

 救命士 「そうですよ!!!ACLS(標準的な心肺蘇生方法)を行えば良いんだから、1次の適応ですよ!!!」

 nozakoji 「そうですね、もし、心臓が動き出してその後に脳低温療法(全身を冷却して、心肺停止による虚血により生じた脳のダメージをそれ以上悪化させないように行う治療法)や他の高度な治療が必要なら救命センターに搬送したら良いんですよね。」

 救命士 「その通りですよ!!!」


 ・・・・・しかし、残念ながら、いわゆる1次医療機関では満足な蘇生が行われていることは少ないのです。外来に来ていた患者さんが心肺停止になったといって救急車を要請、救急隊が行ってみると何の処置もしていない・・・なんてこともあり得ます。(実際、ありました・・・。)


 また、重篤な患者を常に受け入れなければならない救命センターが患者の受け入れを断るといったことも最近耳にします。救命センターの近くで生じたCPAが当院に搬送されるので理由を聞くと、「ICUが満床だからと言われました」とのこと・・・。
 救命センターまで10分弱で到着する患者を当院まで20分近くかかって搬送すれば助かるモノも助かりません・・・・。外来でまずは蘇生を試み、それから転院を含めて考えれば良いのに、と思ってしまいました。(実際、CPA患者さんでICUにまでたどり着ける方はほんの一部です。)

 私もお世話になった地元の救命センター長は、救急隊への研修も休みを削って一生懸命されているのですが、下の先生にはうまく伝わっていないな~と強く感じてしまう今日この頃です・・・。

【追記】誤解があったら困るので、追加します。医療スタッフに対して患者数が多く、受け入れることで逆に患者さんに不利益が生じると思われるのならば、受け入れ拒否も仕方がありません。それは正しい選択です。
 特にERにも患者さんが多くいない状態で、断ることが問題であるということを伝えたかったのです

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by nozakoji | 2006-01-19 21:04 | 救急の話 | Comments(7)

意識障害の原因は?内因性?外傷?

 今のところ静かな救急当直をおくっております。

 さて、いつの日か忘れましたが、こんな症例がありました。

 60代の女性が、夜中にトイレで倒れているのを家族に発見され、救急車で来院されました。

 夫の情報では、糖尿病で近医を受診した既往はあるが現在は何も治療はしていないとのこと。
 来院時の意識レベルは、こちらが強く呼びかければ目を開ける程度でした。左半身に軽度の麻痺もありそうです。

 そうです、ここでやるべき事は、まず血糖値の測定です!研修医時代のnozakojiとは違い、意識障害を見たときには、きちんと測定しています。(笑)
(以前のブログ記事(2005年12月25日「ア・イ・シ・テ・ル・・・!」を参照して下さいませ。)

 簡易血糖測定値の表示は「Hi」(高すぎて数値表示できないレベル)でした。救急外来で見られる糖尿病に関係した意識障害としては、低血糖昏睡の方が圧倒的に多く、高血糖による昏睡はあまり多くはありません。

「意識レベルの低下は、高血糖か。でも、念のため頭のCTも撮っておこう。」

 で、撮影したのが下の写真です。
 
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 脳の左側(左側頭葉)と右後頭部に白く映る脳出血(硬膜下血腫)が認められています。明らかに「外傷」です。(注:CTでは右と左は逆になります)

 意識障害の原因は高血糖によるもので良いのでしょうが、倒れたときにこのような外傷を合併していることもありますよ、という一例でした。明らかに病気による意識障害だと思っても、脳CTは必ず撮った方が良いと思います。


 【内緒(?)話】 以前、ある病院に意識障害患者さんが運ばれたそうです。糖尿病患者で、来院時の血糖がかなり高かったようです。当直医師は一晩、様子を見て(おそらく血糖値を下げる治療は行ったと思います。)、翌朝にCTを撮ったところ、頭部外傷が見つかったそうです・・・。まるで、今回の症例と同じパターンですよね・・・・。
 あ、これは、私の夢の中で聞いた話かもしれません(^_^;) だって、こんな医者のいる病院は嫌ですよね!(苦笑)
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by nozakoji | 2006-01-15 04:27 | 症例の話 | Comments(4)

心臓血管外科医と麻酔科医にとって不幸な一日・・・。

 昨日、急性大動脈解離(心臓から出た大動脈に裂け目が入る疾患)の患者さん(①)が来た話を書きましたが、コメント欄で追記したように、実は、救急車ではなく、独歩来院された急性大動脈解離の方(②)もいました。

 そして、今日の朝ICUを見てみると、なんと、もう一人急性大動脈解離の方(③)が入室しておりました・・・・。(①の方の手術が丁度終わった頃だったそうです。外科医の落胆ぶりが目に浮かびます(苦笑))

 今日は②の方の手術が、定期の心臓手術のあとに行われます。外科医が過労死しないことを祈るしかありません・・・・。(T_T)

【③の方の胸部CT(造影剤なし。)と胸部レントゲン写真】
左の胸腔内に胸水(血管からしみ出した血液)が認められます。
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by nozakoji | 2006-01-13 10:02 | その他 | Comments(4)

背部痛の患者さんが来ました。

 朝方、呼ばれてかなり眠いnozakojiです・・・。こんな症例がありました。(注:実際の会話よりわかりやすく変更は加えています。ま、いつもですが・・・。)

 救急隊員:「60代の女性。昨日から背部痛があります。そちらでは骨粗鬆症で整形外科に受診歴があります。」
 
 nozakoji:「はい。」(この時点での心の声 「あ、きっと転んで背骨でも折れたのかな。」)
 
 救急隊員:「最高血圧が右上肢で158、左上肢で110台と左右差が認められます。」
 
 nozakoji:「えっ!」(心の声 「本物だ!!!」)


 突然の背部痛・胸痛の出現は救急領域では心疾患(心筋梗塞)や大動脈疾患を疑います。ただし、この方のように元々、腰痛などで整形外科を受診しているなどの情報があると、「どうせまた整形外科領域の病気だろう。」と、惑わされてしまうことがあります。(特に、最初に患者さんに接する立場の救急隊員や、私のようなインチキ医者!)
 
 今回の救急隊員の現場活動・観察で素晴らしいところは、

・きちんと血圧の左右差を確認したこと!
 大動脈に裂けめが入る(急性大動脈解離)と、腕に血液を供給する動脈の枝にまで影響を及ぼし、左右の血圧に差が生じることがあります。この症状を知ってはいても、病院へのファーストコールで、きちんと血圧の左右差まで報告する方は少ないのです。

・スクープストレッチャーで搬送したこと!
 上記ストレッチャーを使用したのは、なるべく患者さんに大きな刺激を与えないようにするための工夫でした。大動脈に裂け目が入った患者では、少しの刺激が病状を悪化させて、絶命にいたることがあります。(普通の担架で搬送し、「ヨイショ!」と病院のベッドに移動した直後に、重症化し死亡した症例も見たことがあります。 (T_T))

 来院後の診察では背部、胸部、心窩部(腹部)にも持続する強い痛みがあるため、「やはり、本物(の大動脈解離)だ!」と確信した私は塩酸モルヒネ(麻薬。鎮痛目的で使用。)を筋注後に、造影剤を用いた胸腹部CTに向かいました。 (以下の図)

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 診断は、やはり急性大動脈解離でした・・。で、ICU入室後、臨時手術(裂け目の入った血管を人工血管に置換する手術)が行われております。

 ベッドの中や、机の前でゆっくり考えれば浮かんでくる教科書的な知識がたくさんあっても、患者を前にすると、必要な観察や気の利いた処置ができていないことってよくあるんです。(これは、昔、初めてドクターカーで現場に行った時に、たいしたことが出来なかった私の経験からもお話ししています。 m(_ _)m) 今回の救急隊は、きちんと病状を考えて、観察・活動が出来ておりました。素晴らしい!!!


おまけ:手術室入室時の胸部レントゲン写真。縦隔陰影が拡大している。(臥位ですが。)
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おまけ②:半年前の胸部レントゲン写真。縦隔陰影は拡大していない。(立位ですが。)
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レジデントノート 2011年5月号 Vol.13 No.3 救急診療 研修医が最初につまずくこと~よくある冷や汗症例から学ぶ

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by nozakoji | 2006-01-12 21:10 | 症例の話 | Comments(15)