2007年 06月 27日
抗生物質内服で心肺停止!
(注:症例はいつのものか不明。性別年齢なども適当ですが、治療内容やそれに対する反応はほぼ現実に近いものです・・・たぶん。)
昔々、あるところに40代の女性がおり、ある日カゼをひきました。近くの病院に行きかぜ薬と抗生物質Fをもらいました。その日の夕食のあとにそれらの薬を飲みましたが、特に問題は無かったそうな。
翌朝のこと。朝食後に、前日の薬を飲んだところ、胸の苦しさが出現し、夫に「苦しい・・」と訴えたそうな。すぐに夫は119番通報したが、救急隊員が現場に着いた時にはCPA(心肺停止)であったそうな。(注:詳しく言うと、心電図は波形が出現していたのでPEA(無脈性電気活動)の状態)でした。)
救急隊が一生懸命にBLS(一次心肺蘇生)をしても、心臓は動かず、CPAのまま救命センターに着いたそうな。(注:救急隊CPA確認から病院到着までの時間は10分。)
病院の医師N太郎は、救急隊からの情報(薬を飲んだ後から体調不良)と全身が真っ赤になっている&眼球結膜に高度な浮腫(むくみ)があることから「重症アナフィラキシーショック」(重症のアレルギー反応)を疑ったそうな。
それで、直ちにALS(二次心肺蘇生)に沿ったCPR(心肺蘇生)を開始したそうな。(注:来院時は徐脈のPEA。)
心臓がなかなか動き出さないため、蘇生は約40分間続き、その間、エピネフリン(1mg)計10A(アンプル)、アトロピン(0.5mg)計2A 、リドカイン計80mgを投与し、心電図がVF(心室細動)になった後は除細動(2相性)150J×7回施行したそうな・・・。
N太郎が、「もうだめかな、頭のダメージが厳しそうだな・・・」と弱気なことを思い始めたところ、血圧は低いながらも心臓は動きだし、ICU(集中治療室)に入室となったそうな。(注:救急隊がCPA確認から50分後のこと。)
昇圧剤やさらなる輸液負荷、そして抗ヒスタミン薬(アレルギーに用いる薬。アナフィラキシーにも投与する。)の投与により血圧が安定し、その後、意識も回復したそうな・・・・。
その後、いくつかの合併症はあったものの無事に社会復帰されたそうな、めでたしめでたし!
このように、抗生剤の内服でも心停止し難治性のVFになることもあります。必要な抗生物質投与はもちろんOKですが、単なる軽いカゼ症状の方には投与しないほうが安心です。