2008年 05月 17日
日本DMAT隊員養成研修 最終日が終了!!!
ユニフォームだけではなく、安全に災害医療を施すために、ヘルメット、手袋、膝当て、肘当て、ヘッドライトもしっかり身につけて望みました。テレビや新聞で国際緊急援助隊が活動する様子が報道されていますが、ほぼ同じスタイルです。
まずはSCU(Staging Care Unit)の実習でした。SCUとは「広域搬送拠点」のことで、空港に設置される搬送前の再診療の場所となります。
災害現場でトリアージされた患者さんは、まず災害拠点病院などで初期治療を受けます。その結果、被災地内では十分な治療ができないと考えられた場合には広域搬送といって他の地域の病院まで搬送する必要が出てきます。その任務を行うのも、各地から集まってきたDMATチームとなります。つまり、DMATは被災地内の現場医療や被災地内の病院支援以外に航空搬送の仕事も重要な仕事なわけです。
実習では、まず、被災地周辺の自衛隊基地の格納庫に見立てた車庫内をSCUにするためにブルーシートを広げて心電図モニターや酸素、医療機材をセッティングしました。その後、被災地拠点病院からヘリコプターなどで搬送されてきた患者(患者役はボランティアの学生でした)を受け入れて自衛隊輸送機による長距離搬送に耐えられるのかを診察します。
もし、災害拠点病院内での治療や処置が終わっていても「本当にその治療が効果的か、病状に変化はないのか?」という点を再チェックします。
患者はどんどん押し寄せてくるので、今度は「どの患者を早く搬送すべきか?」という順位付けをします。なので、早くSCUに搬送されてきても、待たされる患者がいたり、病院では元気でもSCU到着時には瞳孔が開いていたために不搬送という判断もしなくてはなりません。
このような医療は医師看護師だけでできるはずもなく、事務職の方がトランシーバーを片手に調整もおこないます。日常診療以上にチーム医療が大事になります。
SCUのあとは、以前記事にしたこともありますが「瓦礫の下の医療」の実習でした。
まずは「実習前の練習」として、実際の電車の下を潜ってほふく前進する練習がありました!!!
電車の下に入るなんて初めての経験で、しかも、周りは布をかけて暗い状態になっています。ヘッドライトをつけて進みましたが、ゴールが遠くて途中で帰りたくなりました。(^_^;) 肘当て、膝当ての重要性がこの練習によりよ~くわかりました。
練習のあとは、マンション倒壊現場を再現した場所に患者が挟まっているという実戦練習です。
レスキュー隊と連携を取り、クラッシュ症候群(※足や体を長時間挟まれたあとに救出されたあとに、高カリウム血症や腎不全になる。不整脈により心停止になる。)が予想される患者のもとまで這いつくばりながら看護師と進み、意識やバイタルサインを確認後に大量輸液の処置を行いました。課題としては、進入前の情報収集や準備の甘さとレスキュー隊とのコミュニケーションの不足が残りました。
4日間の実習は、医師になって今まで受けてきた実習・訓練の中でもっとも充実していた気がします。災害医療についてしっかり学ぶ機会が今までなかったので、初めて知ることも多々ありました。また、受講場所が、大震災や福知山線事故を経験した兵庫県であることも私にとっては感慨深いものとなりました。
できれば、このような経験が役立つ時は来ないで欲しいのですが、万一の時に備えてしっかり復習しておきたいと強く思ったのでした・・・。