2009年 01月 09日
蘇生の現場から・・・。「意味のある」ことを「理解」して「確実に」!
例えば・・・
ある深夜、病棟からの蘇生コールがありました。眠い目をこすりながら駆けつけると、すでに心肺蘇生は正しく行われておりました!しかし、なんとなく違和感を感じたのは、胸骨圧迫(心マッサージ)をしている人の手元でした。
一生懸命に心マッサージはしているのですが、なんだかぎこちないですし、「強く、早く」行うことができていません。
なぜぎこちないかというと、「カーディオポンプ」という補助器具を使用していたからでした。

これは、以下のように胸の真ん中に吸盤部位を押し当てて使用します。なぜ、吸盤が付いているのでしょう?これは胸骨圧迫後に、胸を引き上げることで心臓に戻る血液を増やすためです。

しかし、その場にいた若い医師に「なぜそれを使うのか?何の機能があるのか?」を聞いてみても答えることはできませんでした。しかも、一番大事な「胸を持ち上げる動作」も全く行ってはいませんでした。
「看護師さんに渡されたから使用しました。」
という感じでした。
この器具はかなり力が必要ですし、すぐに疲れも出てきます。器具使用の意味もわからないなら、講習で習った通りの手で行う「普通の胸骨圧迫」を行ったほうが効果的であると思いました。
以前にもこの病院で蘇生コールがあった時にもこの器具を使用していたので、「心肺蘇生にはカーディオポンプ!」という古いお作法、しきたり(?)が残っているのかもしれませんね。
ちなみに、日本版の救急蘇生ガイドライン(リンク)では、この器具を用いた心肺蘇生(ACD-CPR)に関しては次のように書かれています。
*十分に訓練された人員が確保できる場合にはACDCPRを考慮してもよい。
→「十分に訓練された人員」とは、私の中では消防職員の方々です。(十分に使いこなす体力もありますし。)しっかりとした胸骨圧迫がしっかりできる前提があれば、この器具を使ってもいいと思います。機能を理解せずに使うぐらいなら、使わないほうが良いと思います。
*ACD-CPRの効果は報告によって異なり、病院内および病院外での使用を推奨あるいは否定するに足る充分な根拠は得られていない
→使っていけないものではありませんが、いきなりその機能も知らずに最初から用いるものではないということです。
まとめますと、、、、
みんなが使っているから、人に渡されたから使うのではなく、
きちんとその器具の使用目的を理解して、
使うからにはその効果を十分に引き出すように、
使用しましょう!
ということです。
あと、この器具の最大の欠点は、使用者が疲れるということだけでなく、吸盤の付着部位である胸部の中心に、円形の痕跡が残ってしまうことです。家族は「あれ、なんだろう、このあざ・・・。」と思ってしまうことでしょう。



