救急専門医、麻酔科認定医・標榜医。北から沖縄に移住→再び北上した感想など…。(救急には無関係な内容が多い!ペインクリニック患者でもあります。)症例は設定変更しています。
by nozakoji
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蘇生の現場から・・・。「意味のある」ことを「理解」して「確実に」!

 病院によって「急変時のお作法」が異なることはよくあります。長く同じ病院にいるスタッフにとってはまったく違和感がないのでしょうが、私のような流れ者にはそのような点がすぐに目につきます。

 例えば・・・


 ある深夜、病棟からの蘇生コールがありました。眠い目をこすりながら駆けつけると、すでに心肺蘇生は正しく行われておりました!しかし、なんとなく違和感を感じたのは、胸骨圧迫(心マッサージ)をしている人の手元でした。

 一生懸命に心マッサージはしているのですが、なんだかぎこちないですし、「強く、早く」行うことができていません。

 なぜぎこちないかというと、「カーディオポンプ」という補助器具を使用していたからでした。

a0031617_10192977.jpg


 これは、以下のように胸の真ん中に吸盤部位を押し当てて使用します。なぜ、吸盤が付いているのでしょう?これは胸骨圧迫後に、胸を引き上げることで心臓に戻る血液を増やすためです。

 
a0031617_10231929.jpg



 しかし、その場にいた若い医師に「なぜそれを使うのか?何の機能があるのか?」を聞いてみても答えることはできませんでした。しかも、一番大事な「胸を持ち上げる動作」も全く行ってはいませんでした。
 「看護師さんに渡されたから使用しました。」
 という感じでした。

 この器具はかなり力が必要ですし、すぐに疲れも出てきます。器具使用の意味もわからないなら、講習で習った通りの手で行う「普通の胸骨圧迫」を行ったほうが効果的であると思いました。

 以前にもこの病院で蘇生コールがあった時にもこの器具を使用していたので、「心肺蘇生にはカーディオポンプ!」という古いお作法、しきたり(?)が残っているのかもしれませんね。


 ちなみに、日本版の救急蘇生ガイドライン(リンク)では、この器具を用いた心肺蘇生(ACD-CPR)に関しては次のように書かれています。

*十分に訓練された人員が確保できる場合にはACDCPRを考慮してもよい。

 →「十分に訓練された人員」とは、私の中では消防職員の方々です。(十分に使いこなす体力もありますし。)しっかりとした胸骨圧迫がしっかりできる前提があれば、この器具を使ってもいいと思います。機能を理解せずに使うぐらいなら、使わないほうが良いと思います。

*ACD-CPRの効果は報告によって異なり、病院内および病院外での使用を推奨あるいは否定するに足る充分な根拠は得られていない 

 →使っていけないものではありませんが、いきなりその機能も知らずに最初から用いるものではないということです。


 まとめますと、、、、

 みんなが使っているから、人に渡されたから使うのではなく、

 きちんとその器具の使用目的を理解して、

 使うからにはその効果を十分に引き出すように、

 使用しましょう!


 ということです。


 あと、この器具の最大の欠点は、使用者が疲れるということだけでなく、吸盤の付着部位である胸部の中心に、円形の痕跡が残ってしまうことです。家族は「あれ、なんだろう、このあざ・・・。」と思ってしまうことでしょう。
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by nozakoji | 2009-01-09 12:14 | 救急の話 | Comments(6)
Commented by リエ at 2009-01-09 22:59 x
へぇ~そんな器具があるんですね!知らなんだぁ★そうですね、確かに使い方が分かんないのに使うなんてなんかあったときにどうするんでしょうね。。。
Commented by Kim at 2009-01-09 23:06 x
ACDがあるなんてすごいですね!
私も今の病院の蘇生について思う事が色々ありますが、、、、なかなか改善できずです。何しろ私の言うこと誰も聞いてくれませんから、、、、

Commented by nozakoji at 2009-01-10 09:41
リエさん、こんにちは!

>使い方が分かんないのに使うなんてなんかあったときにどうするんでしょうね
→使い方がわからないというよりは、十分にその器具の特性を生かしていない、という感じでした。まあ、使いこなせなければ、普通に胸骨圧迫するだけの方が効果的ですよね。
Commented by nozakoji at 2009-01-10 09:45
 Kim先生、こんにちは!

ACDは以前いた救命センターの外来にもありましたが、使われることは皆無だったような気がします。たまに、学生や研修医に「これ知ってる?」と小ネタとして使用したことはありますが。

>私も今の病院の蘇生について思う事が色々ありますが、、、、
→今回も、若者に指導するという形をとりつつ、周りのベテランスタッフなどにも知識を伝えたつもりです。基本はわかっている人が多いので、より効果的な救命処置、無駄のない動きができるように少しずつ誘導できたらと思っています。
Commented by k1sh at 2010-10-27 23:21 x
初めまして!自分も先日CPRをする事がありました。吸引効果に関しては、一度言われとても印象に残ったものです。
ですがおっしゃるように、救急隊の方でもfull recoilをされていない方もいらっしゃるようで、とてももったいない思いをしたものです。
自分もまだ色々知らない事がたくさんあり、とてももったいなことをしているかもしれませんが、今後も勉学に励んで行きたいと思います。
事後報告になってしまい申し訳ありませんが、カーディオポンプの画像をブログで使わせていただきました…申し訳ありません。
Commented by nozakoji at 2010-10-28 08:28
k1shさん、コメントありがとうございます!

ACDはこの記事を書いて1年半以上が経過しましたが、現在、見ることはなくなりました。手を使ってしっかり押してしっかり戻すことが行われてきたように思います。
救急隊も私の地区では使われなくなったかもしれません。最近見ませんので。

画像はボクも企業ページから借りてる(?)ので、なにも問題ありません!
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