2009年 05月 13日
救急医療におけるFASTとは?~脳卒中を疑ったらすぐに病院に行きましょう!
さて、救急医療にはいろんな英略語(覚え方)があります。
もっとも基本的なのは、病気でも外傷でも必要な「ABC」です。患者さんの意識を確認した後は、
A:airway 気道
B:breathing 呼吸
C:circulation 循環
のチェックです!
医療従事者以外の方も、上記については覚えていただき、目の前で人が倒れた、けがをしたと言うときには、常に気道→呼吸→循環の順序で確認してください。困ったときは「ABC、ABC・・・。」と唱えてください!
で、記事名にあるFASTです。
救急外来では外傷患者さんが搬送されてきて、お腹の中や心臓周囲、胸の中に出血があるかどうかを確認する超音波検査のことをFASTといいます。
ドラマ「コード・ブルー」でも、若い医師達が小型超音波装置を使って、
「FAST ネガティブです!」(=「超音波検査では命に関わる出血はなさそう」)
と話していたと思います。
このときのFASTは、
F focused
A assessment with
S sonography for
T trauma
の略です。
救急医療におけるもうひとつのFASTは外傷ではなく、脳卒中に関するものです。
F Face
A Arm
S Speech
T Time
これは、
「ウチの主人、脳卒中かしら?救急車は大げさかしら?」
と思ったらチェックすべき項目の覚え方です。
Face!(顔)
→顔が左右でゆがみがないか?うまく笑えるか?顔のしわに左右差がないか?(神経の麻痺をチェック!)
Arm!(腕)
→両手を空中で保持できるか?もし、片側の腕が重力に負けて下がってくるようなら麻痺があるかも!?
Speech!(会話)
→いつもと同じように会話できるのか?呂律が回らない状態ではないのか?
以上のサインを確認してひとつでも異常があるのなら脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血など)の可能性が高いです!
119番への通報時間(Time)を遅らせてはいけません!脳梗塞は発症から治療までの時間(Time)が勝負です!
つい最近、
「昨日の昼にそれまで元気に歩いていたおじいちゃんが急に立てなくなった。一晩様子を見たけど、調子悪そうなので連れてきた」
という患者さんがいました。検査の結果、脳梗塞でした。(発症から25時間・・・)
国民病である脳卒中、こういう患者さんやご家族がいる限り、減らすことはできません。日本では、予防、啓蒙活動がまだまだ足りないですね。(^_^;)
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