今働いている救急外来は、歩いて来院する患者さんが多いため、重症外傷や心肺停止の患者さんはほとんど見る機会がありません・・・。では、どんな訴えの患者さんが一番多いかというと、風邪引きさんを中心とした感染症の患者さんです。

 熱がある、喉が痛い、咳が出る、などの「いわゆるカゼ症状」の主な原因はウィルスであり、基本的に抗生物質は必要がありません。風邪薬を飲んで咳、鼻汁などの症状を和らげつつ、安静&栄養を取り、ウィルスの活動が低下するのを待つのが基本です。でも、救急外来に来る患者さんの2,3割(もっと多いか?)は

 「あの~抗生物質はもらえないんですかね~。」

 とおっしゃいます。これは、北国も沖縄も一緒です。

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 いつか来た患者さんの話です。

 昨日から熱が出て、市販のカゼ薬を飲んだけど熱も下がらないし、体が辛い、という事で救急外来を受診されました。私が一通り診察した結果、明らかな重症細菌感染もなさそうなので、解熱剤などを出して「水分摂取と安静を。」と説明し帰って頂こうとすると、強い口調で文句を言ってきました。

 「熱冷ましとかなら、薬屋でも買える。抗生物質は何で出さないんだ!この病院はそういう治療をするのか!」

 かなり長々とむかつく言葉も言われましたが、こちらは「サービス業」。グッと押さえて、

 「風邪症状を1日で劇的に改善するような薬は無いんです。抗生物質は細菌というものが悪さした時に出すもので、今の症状には必要がありません。」

 などとなるべくわかりやすく説明しても、なかなか納得してくれません。納得してくれないどころか、

 「1%でも抗生物質が効く可能性があるなら、出すのが医者じゃないか!」

 とまで言われました・・・。(^_^;) (そんなこと(=予防的にたくさんの薬を処方する)をやれたら医者はとても楽ですけどね・・・。)


 でも、こういう患者さんが増えているのは、私を含めた医者が今まで安易に抗生物質を出してきたからだと思います。この患者さんが悪い訳ではありません。
 最近は、多くの病院にICT(インフェクション・コントロール・チーム)という感染症に関する専門チームが作られ、抗生物質の使用方法もそこで監視されていたりしますが、開業されている先生方の中には、自分のひいきの製薬会社の抗生物質を乱用されている方も見受けられます・・・。(その結果、抗生物質が原因の重症アレルギー(アナフィラキシー)を起こし、心肺停止に至る患者さんもいるのですが・・・。)
 
 
 私も遅ればせながら、研修医向けの書籍なども見ながら、抗生物質の処方や感染に対する基本を勉強中です。研修医に負けないようにしなくては・・・。(^_^;)

 
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by nozakoji | 2007-06-24 23:43 | 救急の話

救急専門医、麻酔科認定医・標榜医。北から沖縄に移住→再び北上した感想など…。(救急には無関係な内容が多い!ペインクリニック患者でもあります。)症例は設定変更しています。