先日、第100回医師国家試験の合格発表がありました。合格された皆様、本当におめでとうございます!(^_^)v

 私の頃との違いはまず、「合格発表の時期」です。今は3月末に発表で、4月からすぐに勤務できるようになっていますが、私の頃は4月末に発表で、勤務は連休明けという、今思えばすばらしい日程でした。
 
 あとは「発表の方法」でしょうか。昔は紙に番号があって発表・・・時代を感じますね。今は高校も大学もネット上で合格発表していますし、もちろん医師国家試験も厚労省のHPで発表されたようです。さらに研修医から聞いて驚いたのは、厚労省のHPはつながりにくいので、つながった方の有志がネット上の掲示板(○ちゃんねる)に番号を貼り付けていくと言うことでした。今は、これが常識なんですね。

 さて、話は変わって、

 今から14年ほど前の話です。医学部4年の私は特定疾患である炎症性腸疾患を発病し、入院することになりました。3月頃からお腹の調子が悪く、すぐにトイレに行きたくなってしまいます。でも、ガスと少しの便と粘液(血も)が出るのみで何だか変な感じでした。1ヶ月ほどしてから、大学の内科を受診し、注腸バリウム(肛門からバリウムと空気を注入してレントゲン撮影するもの)や大腸内視鏡検査をしたところ、前述のように炎症性腸疾患との診断になりました。
 
 診断後はすぐに入院です。でも、その時期がまずかった、5月の2週目でした・・・。ちょうど、その前の週から国家試験合格したての先輩が病院をうろつき出していたのです!

 私はしばらく絶食のため、毎日点滴が必要でした。点滴の担当医と言うのは皆さんご存じのように、ベテランの医師は行いません。ピカピカの研修医のお仕事です・・・・。(>_<)
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 もちろん、私も同じ立場になるのはわかっているので拒否などはしませんが、いやだったのはほかの患者さんには、

 A研修医 「○○さん、おはようございます!点滴しますよ!」

 と一応、医師らしく堂々とした態度を取るのですが、私には、

 A研修医(女性) 「(小さな声で)いや~、noza君、失敗したらごめんね~。昨日、母親で2回練習したんだけど、あまりうまくいかなくて・・・。私、センスないみたい・・・ホント、ごめんね。」

 と、こちらは頼んでもいないし、聞きたくもないミニ情報まで与えてくれるのです。自信を無くした医療従事者に体を任せることほど恐ろしいものはありません。しかも、手は震えてるし!(^_^;)

 研修医が下手なのは十分知っているので、少しは「はったり」もかまして欲しいと思ったものでした・・・・。

 私の腕の血管(とA研修医のお母さんの血管も。)は間違いなく5年ほど先輩の医師の静脈路確保技術向上に役立ったはずです。


 ちなみに私は麻酔科なので、麻酔後に静脈路を取ることが多かったので、意識のある方に取るのは当初、かなりのプレッシャーでした!(^_^;)
by nozakoji | 2006-03-31 20:01 | その他

 昨日は、「腰辛いし、今日は早く帰ろう・・。」と思い、18時過ぎには帰宅したのですが、救急外来から
 
 「10人以上の○○の患者さんが来ます!」

と呼び出され、ご飯のみ何とか食べてから、また病院へ来てしまいました。(>_<) (患者は結局19人。)
 
 以前、他の病態で集団患者の受け入れをしたことを記事に載せましたが、実は、つい先日その時の症例報告と「トリアージ」(集団災害時などに患者さんのバイタルサイン(呼吸、脈拍など)を元に、重症度を判定して、診察手順・治療手順の優先順位を決定すること。)の勉強会を行ったばかりでした。しかし、昨日の流れを振り返ってみると、まだまだ反省の多い診察・治療経過となってしまいました・・・日々反省っす。(^_^;)

 

 さて、救急専門医セミナーの「瓦礫の下の医療」という演題の中で紹介のあったホームページを皆さんにも紹介させて頂きます。


 もう一年近く前に起こったJR福知山線脱線事故の被害者の方が、その時の自分の体験を非常に細かく記録されたホームページがあります。
 インターネット上の検索では、一両目の「真実」と入れて検索すると引っかかると思いますし、以下がそのURLなります。

 http://www.kysd.net/fuku42501.html

 当たり前ですが、被害者の方にしか分からない、理解できない内容が本当に詳しく記述されています。
 
 2度とあってはならないことですが、今後同様の事故や大規模災害が起きた際に、瓦礫の下で救助や診療にあたる可能性のある医師、看護師、救助隊員、救急隊員の方は一度読まれることをお勧め致します。

 
by nozakoji | 2006-03-29 12:44 | 救急の話

大阪に来てまんねん。

 昨日から、日本救急医学会専門医セミナーを受講するため大阪に来ております。

 よく考えてみると、大阪に来たのは、学生時代に来て以来なので、約16年ぶりです。大阪駅の近くにあるヨドバシカメラの裏にあるホテルに宿泊してますが、周囲の高層ビルを見て大阪の大都会さに驚いている次第です。(めちゃ田舎者です。(^_^;))

 昨夜は近くの屋台でたこ焼きを買ったのですが、やはり、「旨い!」と思いました。でも、たこ焼きを頼んでいるのは自分だけで、他の人は皆、「たこせん」という大きめのエビせんべいにソースを塗ってたこ焼きを2個乗せて、それを二つ折りにしたものをみんなかぶりついていました。今夜はそれを食したいと思います。

 さて、専門医セミナーですが、会場は大阪医専という救命士やその他のコメディカルになるための専門学校で行われたのですが、10階建ての素晴らしい建物でした。入り口には、実習用の救急車が置かれてました。

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で、肝心のセミナーの演題はと言うと、

  1.瓦礫の下の医療(CSM)
  2.災害医療チーム(DMAT)の組織と役割
  3.ドクターヘリの現状と問題点、
  4.プレホスピタルケアに関わる事後検証のポイント


の4つでした。どの題名を見ても、受講前から私の興味に「ど真ん中ストライク!」な内容でした。
 1.のCSM(Confined Space Medicine)は狭いところに閉じこめられた患者さんに対する医療についてのお話です。つまり、JR福知山線の事故や新潟での地震、アメリカでの爆破テロなどでの活動を思い出してもらえば分かるかと思います。このあたりは医師だけでは患者の救命は無理で、消防との日頃からの訓練も必要だな、と感じました。

 2.はDMAT(ディーマット。Disaster Medical Assistance Team)という震災などで傷病者が出たときに「その道のプロ」として派遣される医師・看護師・事務からなるチームのことで、日本でも今、その組織作りがやっと始まったところです。私も機会があれば講習を受講してみたいと強く思いました。CSMのところにも通じますしね。(でも、日常生活も辛い腰下肢痛がある自分は実技が無理かな・・・。(>_<))

 3.は以前、ブログ記事にも書きましたが、全国の配備がまだまだ進んでいません。現在は都道府県と国がその運行資金を捻出していますが、それだけでは「金がない。」との理由で適正な配置が進まないので、医療保険制度などに組み込もうとの動きもあるようです。(現在、全国で10機です。)

 4.は救急隊が現場で行ったことに対して救急医が「それは正しい判断であったのか?」というフィードバックをする上で非常に重要な業務です。現在は私は検証の仕事はしてませんが、「医師と救急隊が一緒の考えで患者さんを救命する」というためには本当に大切な仕事です。ただ、現状では「救急医が診療の合間にやっている仕事」として見られているかもしれません。近い将来、海外のように「検証専門の医師」が必要な時代が来るのかもしれませんね。(救命士による薬剤投与も始まりますしね。)

 
 やるべき事、やりたいこと、思うことがたくさん心に浮かんだ有意義なセミナーでした。

 以上、簡単な説明と感想でした!m(_ _)m では、ヨドバシカメラを覗いて、その後「たこせん」を喰ってきます!
by nozakoji | 2006-03-25 16:48 | 救急の話

 
 今日、うちに帰ると日本航空(JAL)から届きものがありました。

 「???何か応募したっけ・・・あ!」
 
 それが何であるか思い出したと同時に、いつも帰りが遅い父親は娘に誇らしげに言いました。

 「haru、開けてごらん!haruの喜ぶものだよ!」

 「え、何??」


 5歳の娘は期待に胸を躍らせながら封筒を開けています。そして、出てきたのが

 JALオリジナル超じんせーエンジョイたまごっちプラス 宮里藍バージョン

 でした。娘は喜んでくれました。(^_^)v
 
 昨年は年間30回もJALに乗ったので、きっと神様が当選させてくれたのでしょう。父親株が急上昇した一日でした。(でも、家に帰るのが遅くて、すぐ下落すると思いますが。(>_<))

 こういうどうでもいいことはこのブログに書かないつもりだったのですが、当選の喜びを伝えるために書き込みました。m(_ _)m ちなみに、私が懸賞で当てた一番の大物は「タイのプーケット旅行ペアでご招待!」ですが、高校三年の夏だったため親の反対に遭い行きませんでした。でも、結局、浪人したので行けば良かった!!!(「いや、行かなかったから一浪で大学に入れたんだ」と思うことにしておこう。(笑))
by nozakoji | 2006-03-21 01:00 | その他

 先週、以前ブログでもお話した看護学生への蘇生講義&実習に行って参りました。

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 まず、午前中にPCプレゼンによる講義を行いました。まずは、まだ臨床の経験もほとんど無いかと思うので、熱傷や腹部切創、ドクターヘリなどの派手めな外傷などの写真を中心に見せて、

 「救急というとこういう派手なものばかり想像する方もいるだろうけど、目の前で倒れた方に対してきちんとした蘇生処置が行えるということが医療従事者としては大事だよ。だって、一般の方が学んでいる時代なんだしね。」

 という意識を植え付けました。(つもりです。)その後は、なるべく短めの講義で必要最低限の一次心肺蘇生の知識とAED(自動体外式除細動器)の重要性を教えたつもりです。でも、講義には笑いも無いと淋しいので、いつも使っている「小ネタ」も披露したところ、予想に反して大うけでした。
(例:どらえもんの歌「頭テカテカ、さえてピカピカ・・・・」を歌いながら心マッサージをすると、早さが1分間にほぼ100回となるし、「・・・僕ドラえもん。」まで歌うと、丁度15回で終えることができる、というもの。)

 自分としては昨年より盛り上がったとは思うのですが、最終的に34人中4人は寝ておりました。(>_<) まあ、しゃあないですね。

 あと、講義の最初に「今まで自動車学校や高校、消防署などで蘇生実習をしたことがある人!」と聞いてみたところ、数人が高校時代に経験があると手を挙げてくれました。その人数の多さに、少し驚きました。

 午後は4グループに分かれて蘇生実習を行いました。実技指導を手伝ってくれた上司、研修医、学生には、「とにかく楽しく。そして細かい点を注意するより流れをきちんと覚えてもらうことを重視するように。」と、お願いしました。

 実習は3つのセッションに分けました。

  ①患者発見から心マッサージまで
  ②バッグバルブマスクの使い方
  ③AEDを用いたシナリオに沿った実習(第一発見者が蘇生チームのリーダーとなる。)

 1グループが8か9人なので待ち時間が少しあり、若干間延びはしましたが、全体としてはインストのおかげで、ほぼ時間通りに進行することが出来ました。

 ②のマスク換気に関しては、当初、実習内容からはずそうかな、とも思いましたが時間が余りそうだったのと、2年後には医療従事者になるので一般市民向けとは差をつけようとの思いから加えた次第です。

 彼らが将来、「あの時、BLS習っていて良かった~」と思ってくれたら良いんですけどね。看護記録、看護計画、看護研究も重要だけど、こういうことを忘れない看護師になって欲しいです。

 あと、どうでもいいことですが、実技実習の前には私が得意とする「ダメな蘇生のデモンストレーション」もやらせて頂きました。36才、一児の父、まだまだこういう事が好きなんです。(笑)

 
by nozakoji | 2006-03-19 15:11 | その他

 最近、こんなことがあったような、なかったような・・・。

 救急ホットラインがなりました。
 
 救急隊員 「ベッドから落ちて意識状態が悪くなっているのを家族が発見しました。受け入れをお願いします!」
 と搬入依頼がありました。

 noza 「なんだろ、頭(の病気)かな???」

 と考えながら待ちかまえていると、70代女性が運ばれてきました。

 意識レベルは、JCS1(何かちょっとぼーっとしていました。)で、明らかな手足の麻痺もないようですが、体は冷え切っています。

 体温測定では33℃台で、いわゆる偶発性低体温という状態です。

 「脳梗塞か脳出血でも起こしてベッドから落ちて、体が冷えたのかな?」

 と思いながら検査を進めていきました。また、電気毛布等による加温も行いました。
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 少しからだが暖まると、会話も少しハッキリしてきました。するとご本人の口から、

 「私は寝ようとした時にベッドから落ちて、そのまま畳の上で寝てしまったんだ。」との情報が。

 しかし、家族にそのことを告げると「そんな訳はない。きちんと寝たはずだ。やはり変だ。」と言われてしまいました。

 とりあえず、検査では長く倒れていた結果、筋肉の中の物質(CK)が血中に多く流れているという事以外、ハッキリしたものはありませんでしたので、保温・経過観察目的で入院としました。

 翌日、体温はしっかり戻り、意識もはっきりて口も滑らかになった患者さんがそこにはいました。

 患者さん 「私は足と腰が悪くて良く転ぶの。昨日もベッドに上がろうと思ったら、転んでそのままベッドと壁の狭いすき間に挟まって動けなくなったよ~。助けを呼んでも、夫も子供も来ないしね~。」(笑)

 意識障害も低体温による意識レベルの低下だったようです。そのことをご家族にお話しすると、
 家族 「あ~そうだったんですか。危うく家の中で雪山の遭難のようになるところだったんですね。これからは一緒に寝るようにします。」

 そうして下さいませ。m(_ _)m

 
by nozakoji | 2006-03-17 03:03

 2日間連続で、「頭に血が行かない状態」になった患者さんが搬送されてきました。(1人は心肺停止後に蘇生された方。)
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 何度も言うように当部はスタッフが少ないので、私が2人の主治医になることになりました。(>_<) 

 二人は原因に違いはあっても、現在の病態は頭に酸素を含んだ血液が回らなくなったために生じた「低酸素脳症」です。脳は神経細胞の固まりです。低酸素にさらされた時間が長ければ長いほど脳には重度のダメージが残ることになります。

 じゃあ、どうしたら脳のダメージを最小限に抑えられるのか?

 私が選んだのは(まあ、他の医師と共に決定したのですが。)、脳低温療法の導入です。

 脳低温療法についてはインターネット上の某辞典に以下のようにあります。


 脳低温療法(のうていおんりょうほう)とは、脳が障害を受けた際に脳の障害がそれ以上進行することを防止するため、体温を低く保つ治療法のことで、人為的に低体温症を引き起こさせるものである。

通常、脳が重大な障害を受けた際には脳組織に浮腫が起こるほか、カテコラミンやフリーラジカルなどが放出され、進行的に組織が破壊されていく。救急の脳障害においては、この進行的な脳組織の破壊を抑制することで救命率・機能予後の向上が見込まれ、またそれを抑制する事が重要な課題となっている。

脳低温療法は水冷式ブランケットなどを用いて患者の体温を32~33℃までに下げることで、代謝機能を低下させて有害な反応の進行速度を抑え、組織障害の進行を抑制している。頭部外傷のほか脳出血・クモ膜下出血・蘇生後脳症などに適応がある。



 決して、死んでしまった脳細胞を生き返らせる治療ではありません。生き残った細胞へのダメージを最小限にする治療方法です。

 上記の説明では、32度ともありますが、当施設ではそこまでは冷やしていません。低体温による合併症も起きるからです。(不整脈、肺炎などの感染症・・・など。) また、冷却期間についてもハッキリと何日間が良いとも決まっていないため、今回は、

 35度以下で2日間、その後、36度以下で1~2日間、その後冷却中止

 というスケジュールとしました。(今後の脳CT所見で変わるかもしれません。また、冷却温度や冷却日数の決定は施設によりかなり違いがあります。)


 今まで当施設では滅多に脳低温療法の適応患者がいなかったのに、2日間連続で患者が来るとは・・・・救急患者さんがたくさん来るという意味での商売繁盛はあまり嬉しくないですね。(^_^;) 
 
by nozakoji | 2006-03-15 00:31 | 症例の話

 前回の記事が悪かったのか、あのあと自損症例が続いています・・・。(薬物中毒、飛び降り、縊頚など。)季節の変わり目だからですかね。でも、あんな記事、書かなきゃ良かったかな。(苦笑)

 あと、今月より自分が救急当直表を作り、かなり自分に厳しい当直表になってしまったせいで、noza自身もかなり「自損な毎日」となっております・・・。(T_T) 

 救急医療はやはり「スタッフの充実」の一言ですね。道具がそろっていても、使う人間がいないのでは話にならないです。

 

 4月からは今月よりは楽になることを信じて生きていくことにします。

 
 以上、愚痴でした。再来週には大阪に救急専門医セミナーを受講に行くけど、観光する元気がないような気がします・・・・移動距離長いし。
by nozakoji | 2006-03-12 23:55 | 自分の話

 出張先のK市のホテルから更新してます。今日の夕食はK市出張の時には必ず一度は訪ねる回転寿司「N亭」でした。K市は海沿いの街なので、回転寿司も安くて旨い!いつも満足しています!(^_^)v

 さて、救急外来で働いていると、色んな理由で自殺を企てる方にお会いします。(前振りと全く関係ないですからね!)

 いわゆる「うつ病」で何度も自殺を試みてしまう方もいれば、失恋から相手に対するアピール(?)のために「なんちゃって自殺」(本当は死ぬ気はない。)をする若い方もいます。

 ある高齢夫婦(両者とも80才を超していたと思います。)は病気を苦に、自殺を企てましたが、飲んだ薬物は「睡眠薬2錠ずつ」。(それじゃあ、よく眠れるだけです・・・。)(>_<) 

 そんな多くの患者の中で、10年以上前に搬送された20代男性のお話です。

 当時、S市の研修医だった私は、「自殺企図による若者が搬送された。」と救急外来に呼び出されました。
 20代の若者は、学生時代から友人のいじめに遭い、就職後も同僚からのいじめに遭っていたようで、今回、いじめを苦にして自殺を企てたようです。薬物はいわゆる総合感冒薬を数百錠内服しておりました。
 急性薬物中毒に対して強制利尿を行うため、まずは点滴を行い、尿量を測定するための尿道カテーテルを留置しようとズボンを脱がせてみて、私は目が点になりました! 何故かその若者は、トランクスタイプのパンツの中に、もう一枚、「女性ものの下着」をはいていたのです!
 
 「え~!!そういう趣味なの!???」

a0031617_2318291.jpgと、意識混濁している若者には聞けるはずもなく、そっと脱がした後に尿道カテーテルを留置し、その後全身管理目的でICUに入室となりました。(血液浄化療法(いわゆる透析療法。血液中にある薬物を排出させる治療)も行ったはずです。)

 家族が病院に到着した後、色々お話を伺ったのですが、その中で女性の下着をはいていた理由がわかり、彼が本当に追いつめられていたんだなあ、と強く思ったのでした。

 前述したように、彼は学生時代からいじめられていましたが、その時に家族によく話していたのが、「妹は女だからいじめられないんだ。俺は男だからいじめられている。女性になれば良かった・・・。」という内容だったそうです・・・。おそらくいじめがヒートアップするたびに、そういう思いが更に強くなり、女性に憧れる気持ちから女性用の下着を身につけるようになったようです。

 救急医ができるのは、急性期の初療のみで、彼のように積もりに積もった複雑な理由から自殺を試みた方の心のケアは出来るわけもなく、そこから先は精神科の医師に診療をお願いした次第です。

 彼も今は30才前半、元気に暮らしていることでしょう。(そうあって欲しいです。)

 あと、彼のような患者さんを救うには、救急医療に対して協力的な精神科医がもっと増えてくれたら・・・と思う今日この頃です。


【注1】:企図(きと)[名](スル)あることをくわだてること。また、その内容。もくろみ。「再建を―する」
【注2】:強制利尿 (forced diuresis)は、中毒起因物質の排泄を促進することを目的として、尿量を増加させる治療法である。急性中毒の標準的な治療法の一つとして広く実施されており、時間尿量250~500mlを目標 として輸液負荷と利尿薬投与を行うことが多い。さらに、尿中への排泄を促進するために尿のアルカリ化や酸性化を行う場合がある。しかし、理論的に有効性が期待できる物質は非常に少なく、臨床的効果が 示された物質はさらにごく一部(バルビタール、サリチル酸など)である。そのため、多くの中毒例においては、脱水の補正・防止と腎血流量維持以上の効果があるか疑問視されている。なお、尿の酸性化は、従来は適応があるとされてきた物質(アンフェタミン、キニンなど)を含めて、現在は推奨されなくなっている。脱水、意識障害、呼吸抑制、痙攣などに対する対策が適切になされるならば、強制利尿を実施することによる臨床的有用性は非常に乏しいと考えられる。
(日本中毒学会ホームページ上の「急性中毒の標準治療」より。下線はnozaが付けました。つまり最近はそれほど重要視されない治療になりつつあります。)
by nozakoji | 2006-03-08 23:49 | 症例の話

 今日は、妻にゆっくりと買い物楽しんでもらっている間に、5才の娘と二人きりで市営の科学館に行ってきました。(別に、前回の記事のことが気になって、必死に家族サービスしている訳ではありませんよ!(^_^;))
 科学館ではプラネタリウムに入りましたが、昔(30年ぐらい前!)とは比べものにならない迫力で真剣に見入ってしまいました。「技術の進歩は凄いな〜。」と思いながら、ふと横を見ると「はぁ〜。」とあくび&ため息をついている娘がいました・・・。5才には難しい内容でした。(笑)

 さて、1週間後に近くにある公立の看護学校で蘇生講義&実習を行う予定です。昨年に続いて2回目なのですが、30代後半のおっさんが10代の学生相手(1年生)にいかに興味を引きつける講義をするか、現在、考え中です。

 昨年は少しインパクトのある写真(重傷熱傷患者、外傷患者など)を見せて、

 「救急医療というと、こういう派手なものばかりと思うかもしれないけど、目の前で急変した人に正しい初療を行えることこそ救急で大事な部分なんだよ。」

 という導入から、一次心肺蘇生の内容を講義したのですが、数人は熟睡でした・・・(>_<)

 自分も学生時代は、一番後ろの方で「睡眠学習」していたので、寝てしまった学生に「こら〜!起きろ〜!」というつもりは全くありません。

 なので、「まだ臨床の場にほとんど出ていない看護学生が眠たくならない講義はどのようにしたら良いのか?」というのが自分にとっての課題です。だって、AED(自動体外式除細動器)を用いた一次心肺蘇生は一般の方でも行える時代なのに、nozaの講義を受けたはずの学生が今後、急変の場に立ち会ったときに、「え〜、こんな器械使えない〜。習ってないもん!」となるのは悲しいですしね・・・。

 昨年の講義の時には、質問した10代の学生に「ため口」で返答され、思わず、「友達かよ!」と突っ込みを入れたnozaでした!
 

 
by nozakoji | 2006-03-05 22:53 | 救急の話

救急専門医、麻酔科認定医・標榜医。北から沖縄に移住→再び北上した感想など…。(救急には無関係な内容が多い!ペインクリニック患者でもあります。)症例は設定変更しています。